看護師の夜勤なしの年収は、全体の平均から引き算できない

賃金構造基本統計調査の看護師の値は、夜勤ありだけを抽出した値ではありません。月額給与と年間特別給与額も同じ対象期間を表すわけではないため、計算の前提を読んで使う必要があります。厚生労働省:令和7年賃金構造基本統計調査 ↗

日本看護協会の病院看護実態調査にある夜勤手当も、別の対象・方法の調査です。その平均手当を賃金構造基本統計調査の平均から引いて「日勤の平均年収」を作ることはしません。日本看護協会:2025年 病院看護実態調査報告書 No.102 ↗

計算に使う数字の区別
数字の種類使い道してはいけないこと
公表統計対象・定義付きで背景を理解する夜勤なしだけの全国平均に付け替える
条件を置いた試算前提が変わると額が変わることを確認する実際の支給額として扱う
本人の明細・書面提示自分の現職と候補先を比較する書面未確認の賞与や残業をゼロ扱いする

夜勤なしの全国平均を今回取得した資料から確定できたわけではありません。参考統計があることと、個人の収入変化が分かることは別です。

看護師が夜勤なしになる年収を、同じ期間・同じ前提でそろえる

比較する式は「固定支給の年額 + 条件を確認できた変動支給 + 確認できた賞与」です。固定月額が期間を通じて同じという前提なら、固定月額×対象月数で年額にします。入職月や昇給、欠勤控除などがある場合は月ごとに分けます。

夜勤なしへの変更を比べる試算票
項目現職で使うもの候補先で聞くこと
基本給・固定手当同じ対象期間の給与明細自分に適用される額。総支給の例から逆算しない
夜勤手当準夜・深夜・二交代等の区分ごとの単価と実績夜勤なし条件が契約に含まれるか。別の当番はあるか
時間外・待機・出動実際の支給項目と対象時間固定残業代の内訳と超過分、オンコール等の扱い
賞与実際の支給額と算定基礎初年度の対象期間・支給条件・算定基礎
入職前後の期間在籍期間と支給の対象月入職初年度と通年勤務のモデルを分ける
未確定の項目書面や明細で確認できないもの確認先・回答予定を残す。見込み合計に混ぜない

照合票・質問例は編集部が作成したものです。職場の実態を示す統計や、条件がかなうことの保証ではありません。未確認の欄をゼロや「なし」で埋めず、回答者・確認日・書面名を残してください。

準夜と深夜をそれぞれ勤務している場合は、ひとまとめの「夜勤回数」にせず支給区分ごとに計算します。同じ職場で夜勤を外れる場合も、固定手当や賞与基礎が変わらないかを確認してください。

自分の条件を書き込むときに

この照合票を保存する(表計算用TSV) ↓

表計算ソフトで開き、確認結果・未確認の点・回答者と確認日を記入できます。空欄は未確認のまま残してください。患者情報は記入しないでください。

看護師の夜勤なし年収に未確認があれば、合計を確定しない

賞与が「前年実績」とだけ書かれているときは、自分への支給が保証された額とは扱いません。「確認できた固定部分の小計」と「条件付き・未確定の項目」を並べ、合計の年収は未確定としておきます。

手取りも、税・保険料など個人の控除条件で変わります。額面の差をそのまま手取りの差と呼ばないでください。この記事は給与の比較方法を示すもので、税額や手取りを確定する計算ではありません。

看護師が夜勤なしで働く職場選びと、年収の条件確認

外来・診療所・訪問看護・企業や健診などを検討する場合でも、職場の名前だけでは勤務時間は確定しません。土日、早出・遅出、待機、出張、研修、業務後の記録まで確認します。パートへ変えるなら、時間単価だけでなく契約時間・賞与等の適用も変わるかを聞きます。

収入を維持したい希望は、必要な額面水準と、増やせない勤務負担を分けて伝えてください。高い年収例があっても、それに必要な業務や当番を引き受けられなければ比較の条件がそろいません。

採用時は就業場所・業務の変更範囲なども含め、説明と条件書面を照合します。厚生労働省:労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第39号) ↗

看護師が日勤のみ(夜勤なし)の求人を探すとき、年収と一緒に確かめる勤務の条件

求人票には、始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩、休日を示すことが省令で決まっています。「日勤のみ」「夜勤なし」と書かれた求人でも、この欄で実際の勤務時間を確かめます。職業安定法施行規則 第4条の2第3項 ↗

  • 「日勤のみ」が勤務の形として決まっているのか、「夜勤の免除」を相談できるという意味か。
  • 早出・遅出、土日祝の勤務、オンコールや当直があるか。
  • 夜勤手当がなくなった分、基本給や他の手当はどう決まるか(上の試算票に書き込む)。
  • 入職後に勤務の形が変わる範囲(異動や勤務形態の変更の範囲)。

採用が決まるときには、就業の場所や業務の変更の範囲などが書面で示されます。日勤のみの条件が書面のどこに書かれているかを確かめましょう。訪問看護のオンコールはオンコールの記事、子育てや介護で夜勤を制限できる場合は夜勤を辞めたいときの記事にあります。厚生労働省:労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第39号) ↗

出典とファクトチェック

  • 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    表・項目
    職種第1表(男女計・男・女):看護師、准看護師。企業規模別の値を含む
    対象
    全国、一般労働者、産業計、男女計、企業規模計10人以上、看護師(准看護師と別)
    対象時点・期間
    月額2025年6月、年間賞与等は原則2024年1〜12月
    公表日
    2026-03-24
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    2025年
    読むときの注意
    月給は6月分、賞与は前の年の1年分で、期間が違います。年収の換算は編集部の計算で、実際に受け取った年収・手取り・個人に提示される額ではありません。
  • 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査報告書 No.102」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    表・項目
    表25 正規雇用看護職員の採用者数・退職者数・離職率(本文16頁)
    対象
    回答病院の正規雇用看護職員(保健師・助産師・看護師・准看護師、短時間正規を含む。非正規・看護補助者を除く)
    対象時点・期間
    離職の対象は2024年度(2024-04-01〜2025-03-31)
    公表日
    2026-03-31
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    2025年調査(2026年公表)
    読むときの注意
    看護師だけの全国の離職率でも、転職エージェントを使った人の離職率でもありません。退職には定年退職なども含まれます。
  • 厚生労働省「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第39号)」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    表・項目
    第5条第1項第1号の2・第1号の3 新旧対照、附則
    対象
    労働契約締結・有期契約更新等における労働条件明示
    対象時点・期間
    2024-04-01施行
    公表日
    2023-03-30
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    2023-03-30公布の改正省令
    読むときの注意
    公布日と施行日(2024年4月1日)は別です。有期契約だけに関わる明示事項があります。
  • 厚生労働省(法令本文は e-Gov 法令検索)「職業安定法施行規則」 ↗
    資料の対象・日付を確認
    表・項目
    第24条の5(法第32条の13の明示事項・方法・情報提供)、第4条の2(法第5条の3に関する事項)
    対象
    法令の適用対象(有料職業紹介事業者・求人者・求職者)
    対象時点・期間
    2026-09-27 時点の現行条文
    公表日
    1947-12-29
    取得日
    2026-09-27
    確認版
    昭和22年労働省令第12号(公布日は制定時。条文は取得時点の現行版)
    読むときの注意
    条文の説明で、個別の事業者が決まりを守っているかを判定するものではありません。公布日は制定時の日付で、条文は現行のものです。

出典:4件 / ファクトチェック:

出典一覧の「確認版」は今回読んだ資料です。公表日が明記されていないページを、取得日に公表された資料として扱いません。

作成:2026年9月27日。訂正・追加:2026年9月28日、「日勤のみの求人を探すとき」の節を追加。2026年9月30日、冒頭の「夜勤なしの平均年収はない」という説明を、「この統計には夜勤の有無の区分がなく、示せない」に訂正。